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闘魂 サバイバル生活者のブログ

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恥を知れ、アメリカ

恥を知れ、アメリカ

サブプライムローン問題で立ち現れた石油通貨ドルの暴落による生活への影響を最小限にとどめるには、生活者が衣食住を確保できるシステムを共同体が用意できるかどうかが大切だ。いつまでも新自由主義ではあるまいに。新自由主義の本家本元米国は時価会計とBIS規制を一時停止するという事態だ。ほんとやってくれるよね。そもそもグローバリゼーション=新自由主義は、透明さを欠き、不労所得を享受するエスタブリッシュメントの談合の臭いがしていた。それどころか、他国に対してはワシントンコンセンサスで、自国が苦境に立たされると景気出動の果てにこともあろうかゲームのルール(=時価会計・BIS規制)を変えてまでしてしゃにむに生き延びようというのだからあきれてものが言えない。なにが新自由主義だ!!恥を知れ、アメリカ。

さて、ここで日刊ベリダのヘイゼル・ヘンダーソンの主張をはさんでおく。先日の記事で取り上げた晴耕雨読さんのあの論考とあわせて読むとよく理解できる。結局思考はこういう方向に向かうんだ。いまさらなにを言ってんだってことになるが、サブプライム問題がクラッシュして、最後尾にいたおやじにまで、認識が行き渡ったことの証として、メモとして置いておく。


…経済学は科学ではなく、常に偽装した政治であったといううわさが広まっている。地域通貨、物々交換、コミュニティ・クレジット、電子マネーを利用した市民活動は、貨幣(money)の政治の実体を明らかにしている。経済学は今や、社会のハード・ディスクドライブの奥深くにある欠陥のあるソースコードと見なされている。それは、好況、破たん、バブル、不況、エネルギー危機、資源の枯渇、貧困、貿易戦争、汚染、共同体の崩壊、文化と生物多様性の喪失など持続不可能なものを次々につくり出している。

なるほど。 
 
 世界中の市民は、この欠陥のあるコードとその基本ソフト(OS)を拒否している。世界銀行、国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)、それに専制的な中央銀行である。その頭の固いプログラム、「ワシントン・コンセンサス」…は国民総生産の成長を誇大に宣伝するための処方せんであり、人間開発指数(HDI)…、エコロジカル・フットプリント分析…、カルバート・ヘンダーソン生活の質指標…、その他の指標によってその正当性に異議が申し立てられている。

ワシントンコンセンサスのせいで日本も金融ビッグバンをはじめ、市場原理主義のガイアツによる影響を受け、現在、当然の帰結たる格差問題でひどいめにあっています。この後におよんで、ワシントンコンセンサスに固執する小泉構造改革を支持するB層をどうすればいいのか…。財務官僚をはじめ、大手マスコミなど支配層の罪は非常に重いよ、ホント。まずは、共同体の利益を重視すべきであって、その逆ではない。同胞を奴隷として外資に売り飛ばして平気なのかと思う。昔からそうだが、この国の支配層には「覇気」が不足している。自分たちの行為がなにをもたらしたか、湯浅誠「反貧困」(岩波新書)を読むといい。 
 
 政治と同じように、すべての実質貨幣(real money)は交換を促進するためにつくられ、信頼に基づいたその場所でしか使えないものである。この便利な発明である貨幣は、支配者と中央銀行の裏付けだけに支えられた抽象的な国の不換紙幣(fiat currency)になった。情報技術(IT)と1980年代の銀行業と金融の規制緩和が現在の巨大な世界的カジノをつくり出すのを促した。そこでは毎日、1兆1500億ドルの不換紙幣が電子的取引によって動き回っている。その90%は純粋に投機的取引である。

生活者として必要なのは衣食住、それだけだ。投機家と生活者に接点があるはずがない。中田安彦「世界を動かす人脈」(講談社現代新書)に出てくるような世界の住人が歴史の主役であっていいわけがない。カール・マルクスのような天才を待たねばならないのであろうか。市場原理主義・新自由主義の息の根をとめるには。 
 
 米国のブッシュ大統領は、債券の利回りと金利が低水準にとどまっている謎は「世界的な貯蓄過剰(global savings glut)」が原因であるという連邦準備制度理事会の新議長ベン・バーナンキの意見を受け入れた。連邦準備制度理事会の前議長、グリーンスパンはゼロ金利政策で米国経済を過剰流動性であふれさせ、ドット・コム、住宅と世界的な資産バブルをつくり出したが、彼自身は、その謎に「当惑した」と述べた。世界最大の債務国である米国(世界の資本の大部分を借りている)と世界の新しい指導者としてのアジアの開発途上国、それに石油輸出国の間の世界的な経済的不均衡という異常事態が起きている。

この歴史上最悪の大統領ったら、なにをとぼけたことをいってるのかという感じですよね。さきの晴耕雨読さんの記事を読んだあとであれば。要するに、本来はインフレになるはずなのに、日中他新興国の貿易黒字と米国の赤字の垂れ流し(消費三昧と戦争経済)で均衡を保っている現実を隠蔽する。ここに来ていよいよ均衡は崩れだしたけれども…。 
 
 「世界的な貯蓄過剰」とか、2005年9月24日付け英エコノミスト誌が主張したような、米国の借金を抱えた貯蓄率ゼロの家計から、倹約家のアジアの貯蓄者への「貯蓄の移動(shift of thrift)」があるとは思わない。わたしの考えは、次のようなものである。世界的にあふれかえった不換紙幣、そのほとんどは金融「革新」(デリバティブ、ヘッジファンド、オフショアの特別目的事業体、通貨投機、タックス・ヘイブン)で積み上げられた何兆ものドルがあり、これに対し現実世界では、品物とサービスの現実の生産がある。 
 
 今日、世界的に地域交換、物々交換、交換クラブによる実験が行われている。米国とカナダでは、デリ・ダラーズ(Deli-Dollars)、LETS、イカサ・アワーズ( Ithaca Hours)…、その他の代用貨幣(scrip currency)がある。何十億人という人々が貨幣のない伝統的な社会で暮らし、世界のほとんどが女性は無償の活動をしている。

この辺りは「エンデの遺言」を見ればよくわかる。再度、リンクを張っておく。エンデの遺言<その1(約30分)>そして<その2(約30分)> 
 
 地域グループ・社会が独自の地域通貨と交換システムをつくると、経済学者が最も奥に隠していた秘密がわかった。貨幣と情報は等しいものであり、どちらも希少のものではない。経済学の教科書には原始的な遺物として片付けられている物々交換は、世界最大のガレージセールであるハイテクのeBayで機能しており、現存する市場を回避した例である。 
 
 中央銀行と国家の貨幣システムがどのようにして、国民を支配しているか人々は知り始めた。マネーサプライ、クレジット、金利など中央銀行総裁が秘密にしたがるテコと蛇口を通じて、希少性(訳注―希少な資源や限られた時間のこと)、雇用レベル、住宅や車のローンの有用性をマクロ経済運営することによって支配している。 
 
 そのような構造にもかかわらず、経済学の聖なる衣装は引き剥がされ、貨幣システムは脱構築され、健全で地域に役立つ、現実世界での代替物が成長し、広まっている。2000年にブラジルのポルトアレグレでブラジルの改革派によって始まった世界社会フォーラムは、そのような多くの世界的な運動のひとつである。2001年のアルゼンチンのデフォルトで市民は、独自の通貨、フリーマーケット、電子的交換システムは公式通貨であるペソより信頼できることを学んだ。アルゼンチン、ブラジル、ベネズエラは「ワシントン・コンセンサス」の処方せんから国の経済を自由にするため、IMFの貸付金を全額返済すると発表した…

女性のシャドウワークに目配りしているところはさすが女性だ。なお、地域通貨が利息を生まない生活通貨であって、蓄財のメディアでないことはもはや常識かも知れない。また、利息が共同体のベースを破壊するのは、先日の記事で取り上げた晴耕雨読さんの論考で見たとおり。

2008年6月1日 根賀源三


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